オーダー製作工程:完全手造りの真珠ブローチ

img_2650-360-panda◆写真の真珠は、今回フルオーダージュエリーのご注文いただいたお客様のために取り寄せた、
『アコヤ真珠』、9.5mmが2個、10mmが1個。
お値打ちに良い真珠が仕入れられました。

 

こちらの真珠は、デザイン決定後にお取り寄せさせていただいた珠です。

 

img_2653-360-panda① 始めにお客様と入念な打ち合わせのうえ、色々なタイプのデザイン画を5~6点ほどご提案させていただき、デザインが決まりました。
今回のお客様のご希望としては、『大きい真珠を多く入れたい』との事でした。

 

 今回も製作工程を簡潔にご紹介させていただきますので、お時間がある方はご覧下さい。

 

dsc03822-360-panda② まずは、精製された新品地金を溶かし角棒に成形していきます。
今回のジュエリーは、珠座、葉っぱに至るまで、全て『鍛造(たんぞう)』による手造りで製作していきます。

 

 

 

 

dsc03827-360-panda③ 角地金を適度な厚みまで薄くし、“やっとこ”、“ヤスリ”などを用いてパーツをひとつひとつ丁寧に作ります。
パーツは、お客様にお見せしたデザイン画と大差ないように曲げながら作ります。

 

 

 

 

dsc03837-360-panda④ 写真は溶接前ですが、ふたつのパーツを重ねた所です。
個々のパーツごとに高低差をつけて、立体的に組み合わさるように考えて製作してあります。

 

 

 

 

dsc03848-360-panda⑤ ブローチの骨組みがほぼ完成した所です。
デザイン画に沿って造るのは勿論、ブローチ全体を立体的に造るのがポイントです。
どの箇所を高くしたいか、どこを低くしたいか、などを考えながら造ります。
後は、葉っぱ・珠座などを造ります。

 

 

 

dsc03858-360-panda⑥ 写真は珠座の製作途中です。
珠座は造る前から、『こことここは強度を高めるために繋ぐ』、など考えて製作していきます。
写真の細い棒のような物も、珠にピッタリと合わせています。
後は葉っぱを造りまとめて、ブローチ金具を付け、その他色々手を加えて完成です。

 

 

img_2760-360-panda⑦ 葉っぱへの彫刻、真珠の留め前ですが、とりあえず完成しました。
華奢に見えますが、しっかりと強度を保った造りになっております。
後は、彫留め職人さんにお願いし、葉っぱへの彫刻を施してもらい真珠を留めて完成です。

 

 

 

↓完成!

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~鋳造と鍛造~

今回のような繊細なジュエリーの場合、鋳造(ちゅうぞう)と鍛造(たんぞう)では強度の違いが顕著になります。

【キャスト(鋳造)】のジュエリーの場合は、地金を溶かして型に流し込んで作るため、どうしても地金の密度が低く、鍛造に比べ少し軟らかい地金になってしまいます。
そのため今回のような繊細なジュエリーの場合、どうしても変形しやすくなります。

一方、鍛造では地金を叩いたり圧力をかけて延ばしたりするので、必然と地金の密度が高くなり見た目が同じでも強度に大きな差が出ます。

こういった所は、【WAX(ワックス)】や【CAD(キャド)】では決して真似できない部分です。

 

今回は、全て鍛造にて製作させていただきましたので、【キャスト(鋳造)】のジュエリーに比べ変形しづらく、より長くお使いいただけるかと思います。

 

~細部までこだわって~

写真でも一部ご紹介していますが、真珠と珠座に隙間がないようにピッタリと合わせるなど、細部までこだわって製作させていただきました。

特に真珠のジュエリーに関しては、東京で修行していた頃、日本一…いや世界一真珠に厳しい会社の逸品製作を手掛けさせていただきましたので、東京で学んだ技術を生かした細部まで拘ったジュエリーとなっております。