お求めになられた、お店に断られた修理

◆今回お客様にお持ちいただいたジュエリーの修理は、かなり難易度の高く厄介な物でした。

正直引き受けるか悩みましたが、お客様の『想い』を尊重して、お受け致しました。

 

写真の通り経年により爪が『摩滅(まめつ)』しており、中心のメレーダイヤが外れてしまっていました。

メレーダイヤは失くされていたので、当店でご用意させていただきます。

 

◆このままでは爪の地金が足らず、しっかりと留め直す事が出来ない為、爪の箇所をピンポイントでレーザー溶接して、地金を盛ります。

爪から隣の石までの余裕が1mmもなく、0.数mmのズレも許されない状況での難しい溶接です。

レーザーがダイヤモンドにダイレクトで当たれば、ダイヤが使い物にならなくなります。非常に神経を使う作業になります。

中心に留まるメレーダイヤの直径が1.8mm程度です。

 

◆なぜかは分かりませんが、写真左下の爪は元から無かった様で、
右上の爪も恐らく買われた当初からほぼ無かった様に推測されます。
地金自体がなく、欠損した訳でもなさそう…
僅かなバリしかない状態、爪があったにせよ、ほぼ掛かっていなかったと思われます。

 

地金を盛ったら、留め屋さんにお願いしてメレーダイヤを留めていただきます。

 

↓修理後

  

◆お求めになられたお店に断られた修理◆

◆修理費用 ¥11,340-(税込)

修理の内容】
・紛失したメレーダイヤ足し。(1pc)
・レーザー溶接で爪の復元。
・メレーの石留め。
・新品仕上げ。

無事に留めも終わり、新品仕上げを施し完成です。

留め屋さんには、その他の潰れた爪までも綺麗に形を直していただき、店頭で販売されていてもおかしくない状態にまで復元していただきました。
これらは、留め屋さんの高い技術があってこそ成せる技なのです。

お客様に納めさせていただいた際には、大変お喜びいただけ、私共も大変嬉しく思います。

 

~常にお客様にとっての最善を考えて…~

今回の修理は爪に地金を盛らなくても、留め直す事が出来るかもしれませんが、その場合爪の地金が足らず、
石を以前の高さより沈めこむ必要性も考えられ、パッと見の見栄え、耐久性などを考慮して、
今回はレーザー溶接機で爪に地金を盛り、しっかりと留める方法をお客様にご提案して承諾いただきました。

 

~お求めになられたお店を訪ねたところ…~

『王冠』のマークで有名なメーカーさんの指輪なのですが、お客様がお求めになられたお店に『直してほしい』とご依頼されたところ、『直す事が出来ない』と言われたようで、現在の指輪を下取りして新たな指輪との交換をご提案されたようです。
しかし、お客様ご自身は思い入れのある、“この指輪”を使いたかった為、修理してくれるお店を探して当店を見つけていただいたとの事です。

 

~修理可能か、職人がその場でお応え致します~

このように難しい修理の場合、職人が常駐していない宝石店ですと断られるか、工房に一度送ってから修理可能か判断されますが、当店は職人がその場で拝見してお応え致します。

実物を拝見しない事にはハッキリと申し上げる事は出来ませんが、金製、プラチナ製、であれば基本的には殆んどのジュエリーが直す事ができます。
ただ、あまりにも難しい場合などは、修理費用が一万、二万、またそれ以上掛かってしまう事もあります。
あまりにもリスクが高い場合はお断りする事も御座います。

 

【※】掲載されている修理費用はあくまでも目安です。素材・形状・傷の程度によりお値段は異なります。