世界の宝石図鑑.5
※今後も色石の情報を更新していく予定ですので、お楽しみにお待ち下さい。
☆掲載されている“カラーストーン”写真は、すべて当店在庫の石です。
Beryl ~ベリル~
Yellow Beryl
~イエロー・ベリル~
・“イエローベリル”の色の起源は微量の“鉄分”です。鉄分により色付くベリルは、アクアマリンなど他に存在しますが、宝石が生まれるどの過程でイエローベリル、アクアマリンなどと分かれるかは詳しく解明されていない様です。
・イエローベリルの大半は、無処理なままでも美しい宝石です。
・品質の良いベリル系の宝石は、ブラジルを中心に採掘されている様です。
【主な産地】ブラジル・マダガスカル…など
◇イエローベリル
Green Beryl
~グリーン・ベリル~
・ベリルグループの中で、緑色で最も有名な宝石はエメラルドですが、エメラルド以外にも緑色のベリルが存在しており、エメラルドに比べ知名度は低い“グリーンベリル”です。
・エメラルドとグリーンベリルの違いは、エメラルドは色の起源が【バナジウム、クロム】、グリーンベリルは色の起源が【鉄分】です。色の起源により宝石名が分かれます。
・グリーンベリルは、約400℃で加熱する事によってアクアマリンへと変化します。
【主な産地】ブラジル・マダガスカル…など
◇グリーンベリル(ブラジル産)
Goshenite
~ゴシェナイト~
・“ゴシェナイト”という呼び名は通称で、一般的には“ホワイト・ベリル”と呼ばれ、ベリルグループの一員です。
・ベリル族は、【アクアマリン、エメラルド、イエローベリル、グリーンベリル、モルガナイト】など非常に多種多様な宝石です。
・アクアマリンは“鉄分”を含み水色に、エメラルドは“クロム、バナジウム”を含む事によって色付きます。
ゴシェナイト(ホワイトベリル)は、他の成分を全く含んでいない純粋なベリルと言えましょう。
【主な産地】ブラジル・モザンビーク…など
◇ゴシェナイト(モザンビーク産)
Heliodor
~ヘリオドール~
・“ヘリオドール”とは、主に黄緑色をしたベリルの事を指します。
・昔は黄色系のベリル全体がヘリオドールと呼ばれていた様ですが、
現在は、黄色のベリルは【イエローベリル】、黄緑色のベリルは【ヘリオドール】と区分けされています。
・ヘリオドールは知名度が低くマイナーな宝石ですが、大粒の結晶も比較的に手に入りやすく、傷気も少なく、テリがありとても美しい宝石です。
色はやや淡い色合いが多いため濃い色の宝石が好きな方にはあまり向いていないかもしれません。
【主な産地】ブラジル・マダガスカル…など
◇ヘリオドール(ブラジル産)
Morganite
~モルガナイト~
・“モルガナイト”はベリル系の宝石で、主にピンク色~赤紫色をしたベリルの事。
ピンク色をしたベリルは他に“ペツォタイト”(ラズ・ベリル)も存在します。
・宝石学の権威者【ジョージ・F・クンツ】博士が、研究に必要な巨額な資金の出資者であった、アメリカの金融王【J.P.モルガン】に因み命名。
・市場に流通している多くのモルガナイトは、加熱・照射処理が施されています。
【主な産地】マダガスカル・タンザニア・モザンビーク・ブラジル…など
◇濃厚ピンクのモルガナイト(モザンビーク産)
Ruby ~ルビー~
Pigeon Blood
~ピジョンブラッド~
・ルビーのみに用いられる、特別な色名。その名の通り”鳩の血の色”からきている呼び名。ルビーの最高色。
・ピジョンブラッドにも色の幅があるが、本筋のピジョンブラッドは日本人からすると、やや濃いめに感じる赤色。
・“ピジョンブラッド”などの名称はあくまで“色”に対する呼び名であるため、品質には関係なく、質の悪いピジョンブラッドも存在する
【ルビーの主な産地】ミャンマー(ビルマ)・タイ・モザンビーク・マダガスカル・タンザニア・タジキスタン…など
◇非加熱ピジョンブラッド・ルビー(ミャンマー産)
Rhodochrosite ~ロードクロサイト~
Rhodochrosite
~ロードクロサイト~
・近年日本で、人気、知名度共に上昇中の“ロードクロサイト”です。パワーストーンとしても有名で、別名【インカローズ】と呼ばれています。
・ロードクロサイトは主に、ピンク色、ラズベリーレッド、の色合いが多いが【クリムゾンレッド】に似た色も存在する。
・非常に魅力的な宝石ですが難点は、モース硬度が3.5~4.5と大変低いという事です。
傷付きやすく、割れやすい、石なので気をつけて扱う必要があります。
・宝石の中では珍しく、日本の【北海道・茨城】などで高品質の結晶が発見されています。
【主な産地】アルゼンチン・ペルー・日本…など
◇ロードクロサイト(アルゼンチン産)
Rhodochrosite
~ロードクロサイト(ジェムクラス)~
・前述の“ロードクロサイト”と同じ宝石ですが、こちらのロードクロサイトは透明感のある【ジェムクラス】のロードクロサイトです。
前述の不透明の結晶に比べ、希少性、価格、共に格段に異なります。
・透明のロードクロサイトは、【アメリカのコロラド州・スィートホーム鉱山】が非常に有名でジェムクラスのロードクロサイトの殆どがこの鉱山で採れている様です。
アメリカ産のロードクロサイトは、【ラズベリーレッド】の色が特徴でとても美しい宝石です。
・近年は、中国やアフリカ大陸で透明感のあるジェムクラスのロードクロサイトが見つかっており、中国やアフリカ大陸で採れるロードクロサイトは、アメリカ産よりやや赤味がかっている物が多い様です。
以前には、日本でジェムクラスのロードクロサイトが採れた事もあった様です。
【主な産地】アメリカ・中国・南アフリカ…など
◇ロードクロサイト(アメリカ・コロラド州産)
Other ~その他の宝石~
Andalusite
~アンダリュサイト~
・アンダリュサイトの宝石名の由来は、『スペインのアンダルシア州』で初めて発見されたためこの名がついたとの事。
・アンダリュサイトの最大の魅力は“イエロー、オレンジ、グリーン、ピンク、ブラウン”などを感じさせてくれる『多色性』です。
写真のアンダリュサイトは、両端が“オレンジッシュブラウン”、中心はほのかにグリーンを感じさせてくれます。
・モース硬度が7~7.5と硬さもあり、ジュエリーに向いている宝石のひとつでもあります。お値段もそれほど高価な宝石ではなく、面白味のある宝石です。
【主な産地】ブラジル・スリランカ…など
◇アンダリュサイト
Andesine
~アンデシン~
・アンデシンの宝石名の由来は、『南米のアンデス山脈』で初めて発見されたためこの名がついたと言われています。
アンデシンは【長石(フェルスパー)グループ】に属しています。
・2002年頃からコンゴ産の宝石質アンデシンがマーケットにデビューしたとの事、非常に新しい宝石。
・以前までは全て無処理の宝石だと思われていましたが、近年“薄い黄色”のアンデシンを『銅拡散加熱処理』によって赤く着色されている事が発覚しました。現在の鑑別技術では看破する事が出来ず、市場では敬遠されがちな宝石です。
しかし、例外もあり『チベット産』のアンデシンは採れたままの無処理でも美しい赤色をしていると言われています。
【主な産地】中国・チベット・コンゴ…など
◇アンデシン(コンゴ産)
Kyanite
~カイヤナイト~
・“縦”と“横”で異なる硬度を持つ、変わった宝石です。(硬度4.5~7.0)
劈開性が強く、気を付けて扱わないとクラックが入りやすい石のひとつです。
・元来、傷気の多い石なのでクリーンな結晶は貴重です。
・カイヤナイトは主に『ネパール』で良質の原石が多く見つかっており、高品質のカイヤナイトですと、一級品のブルーサファイアにも劣らない魅力的な『青色』をしています。
・ブルー以外にも『グリーン』系のカイヤナイトも存在します。
【主な産地】ネパール・ブラジル…など
◇カイヤナイト
Clinohumite
~クリノヒューマイト~
・ジュエリーにほとんど使用される事がないため、聞いた事が無いという方も多いかと思われる“クリノヒューマイト”です。
・クリノヒューマイトは、内包物が非常に多く宝石質の結晶が少ないため流通量も極めて少ない。モース硬度は6。
・クリノヒューマイトは主に【赤系、黄色系、オレンジ系】の色が存在する。中でもオレンジ色をしたクリノヒューマイトは、綺麗なフルーツカラーをしており非常に魅力的な色合い。
・クリノヒューマイトと極めて似た成分で構成された宝石に“コンドロダイト”という宝石も存在します。
【主な産地】タジキスタン・タンザニア…など
◇クリノヒューマイト(タジキスタン産)
Kunzite
~クンツァイト~
・1902年にカリフォルニア州で発見された鉱物が、宝石学の権威者“ジョージ・F・クンツ”博士に因み“クンツァイト”と名付けられ、その名が定着した。
・クンツァイトは、“スポジュメン”グループの宝石です。
【主な産地】アメリカ・アフガニスタン・ブラジル…など
◇クンツァイト
Corundum
~コランダム~
・簡潔に説明すると、主にルビー・サファイアの事を指す。
・コランダムは赤色の石が“ルビー”、赤色以外が“サファイア”です。
【主な産地】カシミール地方(インド・パキスタン)・ミャンマー(ビルマ)・タイ・ベトナム・スリランカ・マダガスカル・タンザニア・モザンビーク…など
◇ルビー&ブルーサファイアの原石(共に非加熱)
Hackmanite
~ハックマナイト~
・『ハックマナイト』は、『ソーダライト』の変種。ソーダライトに『硫黄』を含む事によって『ハックマナイト』になる。
・ハックマナイト最大の魅力は、紫外線(UV)を浴びると『紫』に変色することです。しかも変色するのは一瞬ではなく、紫外線の量にもよるが数分から数日間、色が変わります。
《※注意》
紫外線(UV)は眼に大変有害ですので、UVライトを照射しながら裸眼で長時間直視するのは、大変危険です。長時間の直視はオススメしません!
【主な産地】ミャンマー(ビルマ)…など
◇ハックマナイト
Fluorite
~フローライト~
・フローライトの和名は『蛍石(ほたるいし)』と呼ばれています。
・ルースコレクターの方達に人気がある石です。カラーバリエーション豊富な事も人気がある要因のひとつです。
・モース硬度が4と低いのが非常に惜しい所ではありますが、大粒でクリアな結晶が多く、他の宝石に比べれば価格も手頃です。
【主な産地】ブラジル・フランス・イギリス…など
◇フローライト
Peridot
~ペリドット~
・ジュエリー、ルース好きの方であれば、恐らく殆どの方がご存知の“ペリドット”です。色の幅は、淡い黄緑色~濃い緑、まで存在します。好みの色はそれぞれあると思いますが、出来れば暗みの少ない色がオススメ。
・ペリドットの特徴は、高い複屈折率です。高い複屈折率により正面から見ると石の底が二重に見えるほどです。
・宝石では珍しく、【東南アジア、北米、中東、北欧】など世界中で採れる宝石です。
・ペリドットは、値段も手頃で手に入れやすい宝石ですが、質の高いペリドットは本当に綺麗な色をしています。
個人的にはもっと評価されてもおかしくないと思う宝石のひとつです。
【主な産地】ミャンマー(ビルマ)・アメリカ・パキスタン・中国・ノルウェー…など